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パステルカラーの封をされた小さな箱が白い棚に並ぶコレクション売場

CAPSULE TOY INDUSTRY REPORT

ブラインドボックスと
大人向けトレンドの論点

中身が見えない売り方の仕組みと、景品表示法などの制度上の論点を、消費者庁の資料で整理します。

ブラインドボックスとは:中身が見えない箱入りの商品

最終更新日:

ブラインドボックスは、中身が見えないように封をされた箱や袋で売られるコレクション商品です。同じシリーズの中に複数のデザインがあり、購入するまでどれが入っているかが分からない点は、カプセルトイと共通しています。違いとしては、カプセルトイが自動販売機の筐体で販売されることが多いのに対し、ブラインドボックスは箱入りの状態で店頭や通販で売られ、1回あたりの価格帯が幅広い傾向にあります。

代表的な事業者の一つが、中国発のキャラクター玩具ブランドであるPOP MARTです。日本語の公式オンラインストアには、ブラインドボックスの商品が「1回あたりの価格」で並び、価格帯は約330円の商品から4,400円の商品まで幅があります。公式サイトには、THE MONSTERS、Hirono、SKULLPANDA、Crybaby、MOLLYなど、アーティストが生み出したオリジナルのキャラクターが紹介され、ぬいぐるみのキーチェーンやフィギュア、アクセサリーなどのカテゴリもあります。日本での店舗は、2022年7月16日に原宿本店が開店したと報じられ、その後も各地で出店や期間限定店が展開されています。

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ブラインドボックスとカプセルトイの境界は、年々曖昧になってきました。カプセルトイの側でも、400〜500円が中心の価格帯になり、大人が収集する対象として質感やデザインにこだわった商品が増えています。一方で、ブラインドボックス型のキャラクター商品が専門店や自動販売機形式で売られる例もあります。本ページでは、両者に共通する「購入するまで中身が分からない売り方(ランダム販売)」と、それをめぐる制度上の論点を整理します。

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「大人向け」トレンドの背景

日本カプセルトイ協会の2024年度調査を伝える資料は、20〜30代の女性の「推し活」グッズとしての需要が人気を支えていると述べています。推し活とは、アイドルやキャラクターなど、自分が応援する対象に関連する商品を集めたり、イベントに参加したりする活動を指します。コレクションの対象としての魅力、手に入れたときの小さな満足感、日常で使える雑貨としての実用性が、大人の購入を後押ししていると考えられます。推し活の購買行動については、関連サイトの推し活ノート|推し活実用ガイドもご覧ください。

売場の側も、大人の来店を意識した設計を進めています。ガチャガチャの森は、従来のカプセルトイの概念を超えて「大人も楽しめる空間」を目指すと説明しており、白を基調とした内装やスタッフの常駐をコンセプトに掲げています。ケンエレファントは、大人向けカプセルトイのポップアップ企画「ケンエレラグーン」を実施していると公式サイトで案内しています。このように、売場の見せ方や商品の質感が、購入者層の変化に合わせて変わりつつあります。

注意したいのは、コレクション性の高い商品ほど、「全種類を集めたい」という心理が購入を重ねる動機になりやすいことです。事業者の側には、購入者に誤解を与えない表示や、過度な購入を促さない売り方への配慮が求められます。次の節で整理する景品表示法の考え方は、その配慮の一部を制度の側面から説明するものです。

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ランダム販売と景品表示法:消費者庁の資料から

ランダム販売の制度上の論点として、まず参照されるのが景品表示法に基づく景品規制です。消費者庁の景品規制の説明によると、景品類とは、顧客を誘引する手段として、事業者が自己の商品・サービスの取引に付随して提供する物品、金銭その他の経済上の利益を指します。景品規制は、景品類の最高額や総額などを規制することで、一般消費者の利益を保護するとともに、過大な景品による不健全な競争を防ぐ目的を持っています。

消費者庁は、くじなどの偶然性を利用して、アイテムなどを有料で提供する仕組みを「ガチャ」と用語集で定義し、カード合わせ(いわゆるコンプガチャ)に関するQ&Aを公表しています。そこでは、次のような整理が示されています。

  • 有料のガチャ自体で得られるアイテムなどは、取引の対象そのものであるため、景品類にはあたらないとされています。
  • 一方、有料のガチャで異なる種類のアイテムを特定の組み合わせでそろえた利用者に、別の経済上の利益を提供する場合は、「カード合わせ」として問題になりうるとされています。
  • カード合わせは、懸賞景品制限告示の第5項で、「二以上の種類の文字、絵、符号等を表示した符票のうち、異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法を用いた懸賞による景品類の提供」と規定されています。景品類の最高額や総額にかかわらず、全面的に禁止されています。
  • 禁止の理由として、方法そのものに欺瞞性があること、子どもの射幸心をあおる度合いが強いことが挙げられています。欺瞞性とは、当選率に関する錯覚を指し、途中まではすぐに集まるのに次第に集まりにくくなる点で消費者が誤解しやすい、と説明されています。
  • 名称がコンプガチャやビンゴガチャであるかではなく、仕組みが特定の組合せを求めるかどうかで判断されます。同じ種類のアイテムだけをそろえさせる方法は、「異なる種類」の組み合わせではないため該当しないとされていますが、個別の事案ごとに判断されるとも記されています。

この考え方は、2012年5月18日に消費者庁が公表した「カード合わせの考え方」で示され、2012年7月1日から運用が始まったと、同庁のQ&Aに記載されています。ソーシャルゲームのガチャを題材に整理された内容ですが、仕組みが似た販促を企画する場合には、商品やサービスの種類にかかわらず参考にされています。

カプセルトイやブラインドボックスの店頭販促で言えば、たとえば「シリーズの全種類を集めた人に特典を渡す」企画は、仕組みの設計次第で上記の論点に関係する可能性があります。本サイトは個別の企画が景品表示法に適合するかを判断する立場にありません。企画を検討する事業者は、消費者庁のQ&A、公正取引協議会、弁護士などの専門家に事前に相談してください。購入者全員に景品を付ける「総付景品」についても、取引価額に応じた上限が定められているため(取引価額が1,000円未満の場合は200円、1,000円以上の場合は取引価額の10分の2)、あわせて確認が必要です。

賭博罪の規定との関係をどう読むか

ランダム販売は、偶然による結果に購入者が関心を持つ点で、賭博の議論と並べて語られることがあります。刑法第185条は、「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」と定めています。

ここで押さえておきたいのは、賭博にあたるかどうかは、具体的な仕組み(対価の支払い、偶然性、得られる利益の内容など)に照らして個別に判断される事柄だという点です。本サイトは、カプセルトイやブラインドボックスの特定の売り方が賭博にあたる、あるいはあたらないという結論を示しません。商品そのものの購入と引き換えに、あらかじめ定められた商品が提供される取引であるか、金銭や財産上の利益を賭けた勝負の要素があるかなど、制度の枠組みを理解したうえで、専門家に確認することが適切です。

二次流通と転売:論点の整理

人気の商品や限定品は、購入後にフリマサービスやオークション、専門店などで再販売されることがあります。再販売そのものの是非について、本サイトは評価しません。ここでは、事業として再販売を行う場合に関係する制度の枠組みと、運営側の対応の方向性を整理します。

中古品の売買を業として行う場合には、古物営業法が関係します。同法の第3条は、同法で定める営業を営もうとする者は、都道府県公安委員会の許可を受けなければならない、と定めています。どのような取引が許可の対象になるかは、同法の定義に従って判断されるため、事業として売買を行う場合は、警察庁や各都道府県警察の案内、専門家に確認してください。

売場側の対応としては、購入個数の制限、抽選や整理券による販売、一人あたりの回数の制限などが行われることがあります。これらは各店舗や各ブランドの案内に定められるもので、制度ではなく運営上のルールです。購入を考える場合は、各売場や公式サイトの案内を確認してください。

なお、本サイトは、特定の商品の将来の価値の上昇や資産としての保有を勧めるものではありません。コレクション商品の再販売価格は変動し、購入時の価格を下回ることもあります。趣味として楽しむ範囲で、無理のない購入を心がけることが大切です。

購入者として知っておきたいこと

ブラインドボックスやカプセルトイを楽しむ側にとっても、売り方の仕組みを知っておくと、納得のいく買い物につながります。まず、中身を選べない商品では、同じデザインが重なることがあります。シリーズの種類数が多いほど、全種類をそろえるために必要な購入回数は増える傾向にあります。何回までなら楽しめるかをあらかじめ決めておくことが、予算の管理に役立ちます。

次に、交換や返品の扱いは売場や通販によって異なります。不良品や欠品の場合の対応は、各店舗や公式サイトの案内で確認できます。また、シークレット商品の有無や、シリーズに含まれるデザインの数は、公式サイトの商品ページや売場の掲示に記載されていることが多いため、購入前に見ておくとよいでしょう。

コレクションの保管も、楽しみ方の一部です。小さな部品を含む商品は、幼い子どもの手の届かない場所で保管することが望ましいとされています。対象年齢の表示がある商品は、その表示を確認してください。趣味として無理のない範囲で楽しむ姿勢が、長く続けるうえでも大切です。

アーティスト発のキャラクターという切り口

ブラインドボックスの特徴の一つは、アニメや漫画といった既存の作品だけでなく、アーティストが生み出したオリジナルのキャラクターを前面に出した商品が多いことです。POP MARTの日本語公式オンラインストアでは、THE MONSTERS、Hirono、SKULLPANDA、Crybaby、MOLLYなど、キャラクターごとにアーティストの紹介ページが設けられています。作品の世界観や作家性を購入の理由にする、という売り方です。

この点は、既存のIPの権利を預かって商品化するモデルとは、契約の構造や商品化の自由度が異なります。自社でキャラクターを育てる場合は、デザインの一貫性や展開の速度を自社で決められる一方、知名度を一から高める必要があります。既存のIPを借りる場合は、知名度を活用できる反面、監修や使用料の面で制約を受けます。どちらが適するかは、事業の目的によって異なります。ライセンスの構造はインバウンドと地域・キャラクターIPで整理しています。

ランダム販売を企画する事業者が確認したい項目

  • 景品との関係:購入特典、全種類コンプリート特典、抽選企画などを付ける場合、景品類にあたるか、あたる場合の上限や禁止される方法は何かを、消費者庁の資料で確認する。
  • 表示の正確性:商品の種類数、封入される個数、シークレット商品の有無など、購入者の判断に影響する情報を正確に表示する。
  • 年齢への配慮:子どもが購入者に含まれる場合は、過度な購入を促さない売り方を検討する。
  • 権利関係:キャラクターやデザインの権利者との契約で、販売方法や販促方法の制約がないかを確認する。
  • 返品・交換の扱い:不良品や欠品のときの対応方針を事前に決め、わかりやすく案内する。

キャラクターの権利を持つ企業との関係、ライセンスの仕組みについてはインバウンドと地域・キャラクターIPで扱います。売場の運営については専門店開業・筐体設置のビジネスモデルをご覧ください。

一次情報の確認先

本サイトはカプセルトイ・ブラインドボックス産業を公開情報から整理した業界レポートであり、特定の店舗・メーカー・設置事業への投資や出店の推奨ではありません。景品表示法・古物営業法等の記述は概要であり、個別の判断は所管官庁・専門家にご確認ください。